ララ・マルガレータの覚悟

July 9, 2018

偉大なる魔女ルーシー・メイは、弟子であるピアノの弾きの魔女に再三に渡って手紙を出していた。

その内容は、登城して王の魔女として、その稀なる能力を実らせた才能と力を国の為に使って欲しいと、王の側近として老いた魔女の後を継いで欲しいと言う内容であった。しかし、ララは登城しなかった。 

 ルーシーには時間がなかった。それは自身の寿命をもってこの国を安寧へと導くことができないと理解していたからだ。ルーシーの意志を汲み取り後を引き継がせられるモノはララであると確信していたのだ。貧困と飢えの問題解消の為に国力を増大の為の策として、近隣諸国の侵攻を行っていた。短期的策の筈だった。が、多くの時間を費やす事になった。それは諸外国が同盟を結び立ち向かってきたからだ。苦戦を強いられることになったルーシーは、身体が思うようにならなくなってきていた。得意稀な能力をもっていても老いを免れることはできなかった。

 ルーシーの力が衰えを増していることはララは気づいていた。ララには王の魔女としての地位や権力には興味が無かった。夫のバリーと一人娘のシモンと平穏に暮らしたいと強く願っていた。しかし、バリーは召集され戦場で行方が分からなくなり、シモンは考えの違いから出て行ってしまった。屋敷に取り残されたララはひとり平凡な日々を送っていた。

 ララは身寄りのない孤児の面倒を見ていた。その中でも三人の男子は特に学びも早く優秀であった。それが、スレイダー、グランガー、クリフォードであった。スレイダーは勝気であって腕力もあった。グランガーは頭がよく論理的でった。クリフォードは誰にでも優しく自然を愛していた。この三人はそれぞれに自立していった。がある時三人が揃ってララを尋ねてきた。

 グランガーがララに話した。「この国を取り戻す!」。

その一言でララは三人の目的を悟った。若き命の勢いは止められぬものだ、そう感じたララは三人に話した。「選択だ!どちらの方向性を取るかよく考えろ」。三人は同じ方向性を選択した。三人はそれぞれの故郷である地方に戻っていった。北の地域にスレイダー・バンガード、東の地域にクリフォード・ミューラー、南の地域にグランガー・アーチボルト、ララはスレイダーの元に月詠みの魔女クライシス・ダルクを向かわせた。クライシスは妹のヨゼフィーネに手紙を書き賛同する様にと伝えた。当時、ヨゼフィーネはシャルロットの頼みで作曲家ルートヴィッフィ・ヴァンの看病をしていた。

クリフォードには娘のシモンが既に着いていた。クリフォードとシモンは心惹かれあっていた。ララの反対を押し切ってシモンはクリフォードと共にララを元を去って行ったのだった。こんな形で、立場で実の娘に指示を出すとはとララは魔女としての定めを嘆いた。シモンには普通の暮らしをして欲しいと願っていたからだ。その考えからララはピアノ弾きの魔女が引き継ぐ「天空のハルモニの真髄」をシモンには伝えていなかったのだ。ララはそれも悔やんだ。

 グランガーにはララ自身が守護した。が南の地域に穴があいた。ララの考えは王宮を四方から4人の魔女の力で決壊を張り、ルーシーの力を抑えようと言う考えであった。南の地域に立つ魔女がいなかった。

 ララは一人の魔女に手紙を送った。それは、大地の魔女ルーシー・メイの後継者である、ララの姉貴分のダイアン・ガードナーであった。ダイアンは世界を渡り歩き、見せ物とされている魔女の子たちを助けていた。世界では、魔女の身分地位は大地より低く、獣よりも軽んじられていた。

 ダイアンが手紙を受け取ったのは反旗を揚げる7日前であった。ダイアンからの賛同する返事がララに届けられたのが、反旗を揚げる3日前であった。

その返事を読んだララは王宮に居る、偉大なる魔女ルーシー・メイに会いに行くことを決める。これは誰にも知られないララだけの秘密の決心だった。

 

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