役者の力と影響力
役者は稽古で経験を積み重ねて演技を向上させ、役を成長させていくのです。

演技の向上は、積み重ねに比例していきます。経験を積んでいくことによって様々な技術が自分のモノになっていきます。演技の向上には知識だけでは足りなく、能力が問題であるのです。そして能力とは技術であることを理解しなければならないのです。
知識+技術=演技の向上
心という実体性のないモノについて、如何にして技術は可能であるかと考えなければいけないのです。
才能ある役者とは、他の役者が創り得ない演技を創り得る役者が、才能ある役者なのです。
創ることによって知るということが大切なのです。

役者の人格とは?役者の自由とは?秩序である。
これを理解することができなければならない。そして、理解できるとき主観主義は不十分となり、客観的なものを認めることができる様になる。
外的秩序は強力によって創ることができる。
しかし、心の秩序はそうではないのです。

役者の力と影響力

役者の持つ力とは活動能力です。
役者の持つ影響力とは、観客の活動能力を増大させることです。
例)この演劇(芝居)、役者の演技は、私の活動能力を高めてくれる。
だから、社会が混沌、不穏になっていくと上演(活動)が強制的に禁止されるのです。

芸術は人の心に大きな影響を与えていき行動につながっていくのです。
それは、アーティストも観客にもです。
役者の力の強弱で、役の成長が成り立っていくのです。
役者の活動能力が向上しないと、役は成長してはいかないのです。
台本、役と役者の組み合わせが善くあることが必要であるが、役者との組み合わせが善い、台本と役が必ずあてがわれるとは限らないのです。
だからこそ、心の秩序が必要となっていくるのです。主観的ではなく、客観的になっていかなければならないのです。
役者の趣味趣向で台本と役を観たり選んではいけないのです。与えられた台本はチャンスです。そのチャンスを生かすのが役です。
組み合わせは偶然ではなく必然的にする。
そうあることで活動能力が増大していき、想像力も増大していくのです。常に稽古では想像力を増大させていかなければ、役の成長はしていかないのでです。その準備運動的なものが稽古から稽古までの間に行なう、独りでの台本読みなのです。

役者の3つの必要性
・力としての本質という考え方の必要性
・活動能力という考え方の必要性
・力の表現としての能動の定義の必要性