役を深堀する。
先の記事の中で「興味」と「関心」ということを少し書いたので、もう少しだけ書いてみようと思う。
「興味」とは、物事に心がひかれ面白いと感じること。
「関心」とは、ある物事にひきつけられる気持ち、特に心をひかれる事。
知りたいという気持ち(興味)が、より知りたいと感じる心(関心)なのです。
先の記事では、絵を描いている絵描きに話しかけ興味をそそらせる事により関心を持たせ振り向かせるというシーンの事を例題として紹介しています。
このシーンで行われる演技は・・・・。
絵描き
集中して絵を描いている。それ以外に聴こえない見えていない。
役者が演技するのは、注意深い不注意という「選択的注視」なのです。
話しかける物
集中して絵を描いている絵描きに興味を持たせ、自身に関心を持たせる。
役者が演技するのは、絵描きのneedsを突き、wantsで引き上げる。

台本に書かれている内容だけを読んでの演技は行き当たりばったりな演技になり、書かれている役の心理を掴んだ演技とはならないのです。
「役の何を演じるのかを役者が気づくためには、役者が役の何を探しているのかを知らなければならない」のです。
演技は役の心理に気づく為には、役者が当てられた役の人生を知らなければいけないのです。
そのシーンだけを観ていては、そこに演じなければいけない役の心理には気づかなくなり、行き当たりばったりの演技になってしまいがちになるのです。
役の深堀とはこういうことなのです。だから、興味と関心という演技には、相手のneedsとwantsが分からなければいけないのです。そうでなければ、台詞に深みが増してこないのです。
そこに雑音的に入ってくるもう一人の役の台詞が活かされて行くのです。1ページほどのシーンではありますが、それぞれの役の役割を果たさなければ、まったく面白くないシーンになってしまうのです。なのでそれぞれの役の役割を理解した上で、そのシーンのそれぞれの役を深堀しなければいないのです。それを構築していくことが役創りであり演劇であるのです。