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役は立体的に創っていく。

演技とは、人間が生きて、日常の生活の中で行っている動作や、刺激によって出される感情を心身を使って表現することです。

わかっていても、演技をする時に理論的に理解ができずに、感情的な部分から始めてしまうのが普通です。今回の稽古では演技をする上で、理解しておくと演技しやすくなる心理を行いました。

注意力

「注意力は限られた資源なのです」


あることに「注意」を払えば、必然的に他のことに注意を払わないということになるのです。

注意を同時にいくつモノに割り当てて、ひとつの事に集中したときに同じレベルの働きを期待することは不可能なのです。2つの事を同時に前面に置いて注意を注ぐことはできないのです。必然的にそのひとつに主眼が置かれ、もうひとつは、あるいは複数であっても無意味な雑音のように除去されることになるのです。最悪はどれもひとつとして注意を払われることなく、全部が少しは音のいい雑音であってもやはり雑音として処理されることもあるのです。

注意力欠如

ある場面においてひとつのことに集中することで、その他の要素が消えるピロセスなのです。

「注意深い不注意」


この概念は、1928年~2012年までドイツ出身でアメリカで活躍した、認知心理学の父と呼ばれた心理学者ウルリック・ナイサーによって提唱されています。


例)あなたは夕暮れに窓を見ているときに、外お風景を眺めることも、ガラスに映った部屋を見つめることもできると気づいたのです。しかし、両方に注意を払うのは無理なのです。夕焼けの風景か窓に映った部屋の風景かどちらかを諦めなければならなくなたのです。


この現象を「選択的注視」と言うのです。


私たちは、自分でも知らないうちに視野の全てを消してしまうことがあるのです。見ているだけで観察していない事に、もう一歩踏み込んで「見ている」ことさえしない場合があるのです。私たちは、自分が何を見逃したかまったく気づくことのないまま物事を見逃していることがあるのです。

演技を行う上で理論的に理解しておかなければならないことを役者は見過ごしてしまっているのです。それは上記に書いた心理と同じであり、役創りに着眼してしまい、その演技行動にどの様な心理が働いているのか見逃してしまうのです。


今回の稽古の中でも同じもあります。

絵描きが絵を描いている時に、話しかけられるシーンでは、2つの心理が働きます。


描いている絵に集中して、話しかけられていること疎かになってしまう。

これが「選択的注視」なのです。

話しかける側は言葉で絵描きの「興味心」を増幅させることによって「関心」を生じさせていきます。


短いシーンでもあっても心理が働いているのです。そして行動の中で、何に注視して、何を見ないかを選択しているのです。

台本を読み、演技プランを考えるときに、役の心理から行動、台詞の言い方を考えることが大切なのです。そうする事によって、本読みのときの台詞の言い方や、立ち稽古の時の台詞と動きのコラボがスムーズに決まっていくのです。

役は立体的に創って行かなければならいのです。

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