上手く演じるな!それはヘタクソのする事だ!①「演出の資質」
役をもらうと様々な役の情報を台本や資料から見つけていくことになり、どう演じていくのかを考えたり、想像したりする。稽古に入ると様々な要望を与えられプレッシャーを着せられていく。
役者は健やかに役造りを進めていきたいと強く思うものだ。しかし、それを邪魔する演出の言動が多々ある。演出の一番の仕事は何だ?それは役者を本番の舞台に導くことである。その為には役者の成長がなくてはいけない。そう演出の本当の仕事は役者の育成なのだ。それも研究生を育てるのではなく、役者の能力向上を図り、その役者の個性を磨き上げていくことなのだ。そうすればその役者のブランドが構築されていきレジェンドを創りあげられるのだ。その為には、「演出の資質」が問われるのだ。
「演出の資質」とは何だ?それは「真摯さ」である。演出は皆「真摯」である。はずなのだが違うのだ。多くの演出は「真摯」であることを意識していないのだ。だから役者を育成できないのだ。
役者の培われた「才能」だけに頼った演技に多くのことを望んでしまい、納得の行く演技ができないと役者の才能や器用さに「責任」を押しつけてしまう。目の前の役者が納得のいかない演技をした「責任」は演出にあることを認めたくないのだ。
「責任」は他人のモノではなく自分のモノであることに気づかなければいけないのだ。
演出の資質である「真摯」さとは何だろうか?
これだ↓。
The quality of being honest and sutrong about what you believe to be right
直訳すると「あなたが正しいと信じていることに関する正直さと強さの質」である。
よく分からないのでもう少し簡単にしてみよう。
「正直さや誠実さが一貫している、継続している」となるのではないか?
それでもよく分からないと感じる。もっと簡単なだれでも分かる言葉で表してみる。
「真摯さ」 = 「直向きさ」 ではないだろうか? これなら分かり易い。
「直向きさ」とは何?一つの物事にだけ心を向けている姿。忍耐強く一途に打ち込んでいる姿。
演出は役者の成長をさせることによって育成するということに忍耐強く一途に打ち込まなければならないのだ。では、そんな演出はどんな人なのだろうか?それは絶えない笑顔の持ち主なのだ。
なので、演出の資質は、「笑顔」なのだ。
時代の流れで人も変わってきている中、現在は特に演出の笑顔は効果的に役者に働いていくのだ。しかし単に演出が笑顔であるわけでない。その笑顔がどんな効果を出し、どんな効果を引き出していくかを理解しておかなければ、笑っているだけの演出であり役者からの信頼は得られないのだ。
時代の流れはどう変わってきたのか?簡単に分かり易く書いてみる。
昭和=忍耐の時代、平成=ゆとりの時代、令和=良い添い育成の時代ではないだろうか?あくまでも持論ではあるが。
演出から見て役者は弱者である。だからこそ演出は笑顔でなくてはいけないのである。だからこそ演出が忘れていけない「矜恤の心」なのである。
これを忘れている多くの演出が現在に蔓延っているのは現実である。
