産業革命後の世界では暗闇に稲妻が轟いた。
物造りが変わり全体争いに躍起になり、誰もが気づかないうちに気候変動が始まった。
すべてはここから変わったのだ。
便利も不便も貧富も差別も変わることなく更なる高みへと向っていった。
時代が変わり、生きるモノも変わり問題も変わっていったが、本質は変わる事がなかった。
大陸では太古からの問題に拍車をかけ、東の国は侵略を踏み台に大海を越えた。
上からの命令が順に下っていき、先を知らされずに任務遂行として実行されていった。
世界では変な臭いのするものや、途轍もなく大きなエネルギーを生み出す研究がされた。
世界中が崩され焼かれて瓦礫に埋もれていった。
野末に埋もれた数え切れないモノたち。
囚われた命があり、それぞれに与えられた獄に乱雑に入れられている。
最終監房の命。
それぞれは知らぬ顔といっても、獄の中から顔も見えない。聴こえるのは声だけ。
毛並みも、出身も、育った環境も違う、デカイやつもいれば、ちびっこいのもいる、凶暴なやつもいれば、気弱なやつもいる。そして、誰もここがどこなのか分からなく、何故連れてこられたのかも分からない。
パノプティコン。
ただ時間が過ぎていくだけ、食事も与えられ雨風も凌げて不自由はない。
ただ気に入らないのは「尾なし」の仕打ちだけであった。
それは逆らうほど激しくなり、日々襲われる何か分からない恐怖の気配に毛を逆立ててしまう。
安心、満足、恐怖、全てあったが、ないものがあった。
「自由な選択」だ。