​鈴野真輝

​「百足丸

 ~色糸紬城のちちゆ~

​寅 蔵

幼き頃は寅蔵と呼ばれていた。姉は梶と呼ばれていた。仲の良い姉弟であった。梶は寅蔵を心から慈しんでいた。寅蔵も姉を慕い尊敬していた。しかし、住んでいた集落を野武士に襲われた。父母、村の大人たちは残虐され、子供達で男は奴隷として、客を遊ばせる女として売られていった。寅蔵は梶と生き別れとなった。寅蔵は硫黄採りの島に流されて過酷な労働を強いられた。労働と硫黄の煙により直ぐに病に陥り暫くは洞窟で面倒は見てもらえていたが、回復がしないと見切られ大陸行きの船に硫黄と詰まれ捨てられてしまった。野垂れ死にする寸前にあった寅蔵は船員に介抱されながら僅かな命を繋げ大陸の港で硫黄と共に降ろされた。時を同じして、太白山脈に属する江原道にある金剛山の素描の旅の途中に通りかかった安 堅(やす けん)に拾われ一命を助けられた。安 堅は絵描きであり寅蔵を弟子として受け入れた。そして自身の術を長きに渡り寅蔵に伝授した。安 堅は寅蔵を桃十郎と名づけた。桃十郎は二十歳を過ぎる頃には女絵姿と言えば桃十郎という程に世の中に名を馳せていった。安 堅はその頃に持病の悪化から奇声を発し息絶えてしまった。桃十郎は女姿絵師の名声によって多くの姿絵の依頼を受ける様になっていた。その中に生き別れていた姉の梶がいた。再会した梶は遊女として華扇(かせん)と名乗り地位を得ていた。それからは、桃十郎は華扇だけを描き続けていった。桃十郎の描いた華扇の絵は世間で評判になっていった。それがちちゆの目にとまり、二人の前に突然ちちゆが現れた。ちちゆは華扇の身体を奪いとった。そして桃十郎の右腕を切り落として二度と筆を持てない様にした。ちちゆは「その痛みを忘れぬのであれば右腕と女の身体を奪い返しに来い」と桃十郎に言い捨て去っていった。桃十郎は奈落の底に落されていった。

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