​吉田 和樹

​「百足丸

 ~色糸紬城のちちゆ~

​雨 娘

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巫女山(みこやま)の神女であった。遊女が客の子を身ごもり一人で産んで直ぐに神隠しにあった。その産み落とされた子であった。母親を捜し求めて泣いて泣いて泣いて巫山(みこやま)の雨娘となった。夜になると淋しさゆえに雨を降らせていく。「巫女山の女神は朝には雲を吹き去り夕には雲をはり雨となるとかや雨女もかかる類のものなりや」。巫女山に迷い込んだ雪蔵波聖は雨娘に出会った。雨娘の事情を知る事はなかったが、夕方の雨に悩む村人たちの心情は理解していた。物の怪か神女か分からない上で村人には雨娘と呼ばれていた。雪蔵波聖は雨娘の心に寄り添った。そして雨娘に「共に居るか」と訊ねた。「共に居るならばそなたの雨も小降りになろう」と説いた。雨娘はこう答えた「お前の側にうちが居て淋しくないと言うなら居てやってもいいぞ」と意外に素直ではなかった。雨娘は雪蔵波聖が腰に持っていた刀、桃中剣牛右衛門の鞘を持った。それから雨娘は 桃中剣牛右衛門の鞘に取り憑いたのだ。以後、雪蔵波聖は桃中剣牛右衛門を廃屋の神棚に供え祭った。以後、桃十郎に桃中剣牛右衛門を授けたのは、桃十郎が片腕であった為と雨娘の淋しさを受け入れられると感じた為、桃十郎が剣の修行中に雨娘が懐いていたからだ。もう一つ雪蔵波聖は雨娘に役目を渡した。それは、桃十郎の右腕となること、桃十郎が桃中剣牛右衛門を抜くときに鞘を引く役目だった。左腕だけで桃中剣牛右衛門を鞘から引き抜くことができなかった。剣の腕があってもそれは剣を鞘から抜いてこその腕前であった。この役目を雨娘に渡すことで、雨娘の淋しさが少しでも治めてくれることを雪蔵波聖は願った。この役目を雨娘に伝えると雨娘はこう答えた「桃十郎様のむさ苦しさが少しでも軽やかになるのであればその役目引き受けるでございます」と、やはり素直ではなかった。

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