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百足丸​~色糸紬城のちちゆ~

何時の時代のお話か? 昔か今か未来か? 分からないパラレルな世界

命あるモノたちが共存し合い 生きるため食らうか食らわれるか?

飽食の時代に精一杯に生きたもの達の物語でございます

奇妙な二人が出会う以前からの運命を辿る所から

本日おいでの皆様に語らねばならぬ 伝えねばならぬ 教えねばならぬ

一匹の虫が描いた野望の始まりが織り成す物語を

耳の穴をかっぽじて よ~く お聴きくださいませ

    

 ここに一匹の蜘蛛がいました。そして そっちには一匹の百足が居たそうな

 蜘蛛は百足をそそのかしはじめた

 じつは とても甘美な実がなる木があるらしい・・・と

百足は最初は信じなかったが 蜘蛛の誘いがあまりにも

饒舌であった為 その口車に乗ってしまったのです

 

百足は蜘蛛に訊ねた

その甘美な実がなる木は何処にあると

蜘蛛は答えた 

黄泉の国と この世の境目にあったと話す

    

百足は蜘蛛に訊ねた

その甘美な実がなる木は今は何処に?

蜘蛛は答えた

今は天上の秘密の花園にある と

 

蜘蛛が企みを語り始める

天女が水遊びに地上に訪れるときがある

あいつらは水遊びしているときは無防備だ

 

以前に羽衣を人の怪に盗まれたこともあったという話しだ

 

あいつらが水遊びに夢中になっているときに

羽衣の裾に忍び込んでおけばいい

天に帰るときに気づかずに連れて行ってくれる

何の障害もなく天に昇れるってわけだ

 

天に昇ればこっちものだ

天女は秘密の花園を通って神殿に向かう

甘美な実がなる木の側も通るってことさ

簡単なことだ その上 美味い物も食えるってわけだ

 

百足は蜘蛛の話すことを信じてしまった

 

百足は蜘蛛に言った

食うたら 直ぐに この地へ降りてこれるんだな

蜘蛛は話した

当たり前だ 

グズグズしていたら 地獄へ落とされてしまう

   

夏のとある日

天女がこの地へ水遊びに降りてきた

蜘蛛と百足は 息を潜めて

天女が身に纏う衣を脱ぐの待っていた

羽衣は木の枝に掛けられた

それを観た 蜘蛛と百足は

一目散に羽衣の裾に忍び込んだ

 

水遊びを終えた天女は

羽衣の裾に蜘蛛と百足が潜んでいるのを知らずに

天へと昇っていった

天女は宮殿に入るために 

秘密の花園の中に入って行った

 

蜘蛛と百足は

甘美な実がなる木へ飛び降りた

   

その木は豊な葉音を奏で豊富な実を踊らせていた

   

蜘蛛はその実に飛びつくなり喰らいついた

百足は木の存在に圧倒され根元に落ちてしまった

その事に 木が気づき ざわめき始めた

女人の悲鳴の如く高音金きり俊足に天を揺らがした

黒雲立ち込め風は渦を立て 秘密の花園を鳥籠の様に

大きな城壁となっていった

蜘蛛と百足は逃げ場を失くした

そこに

天の軍勢を率いてミカエルが現れた

 

ミカエルは静かに問うた

ここは天上 秘密の花園である

そして その木は 神の木である

下等にも 来てはならぬモノが何故そこにいる

そして 何を思い命の実を喰らう

   

神の木に実る 命の実は

あらゆる生あるモノたちが 苦しみに落ち、悲しみに悩むときに

助けるための実である

容易く口にする事は許されぬこと

ヨモツシコメや8柱の雷神を追い払った様に

命の実を投げて難を逃れることはできぬぞ

大罪の償いは深海の老牢にて幽閉となる

その命尽きたとしても開放されることはない償いである

捕らえよ

 

軍勢が動く

隠れた百足 慌てて弁明を始める蜘蛛

恐れ多くも 天上 秘密の花園とは知らずに 無礼を働き お許しください

私は地上で生きる蜘蛛でございます

川の辺で 柔らかい布があったので

太陽の日差しから逃れる為に その布の裾に入っておりました

布の柔らかさと心地よい風で いつしか居眠ってしまった様です

気がつくと 空の上 

ようく見ると 天女様の羽衣に足が引っかかっており

どうすることもなく 木が見えたところで

必死でもがき 飛び降りたのが この木の上でした

それだけのことです

 

ミカエルは問うた

その喰らったあとのある命の実をどう説明する

まさかそれも知らぬと言うのではないだろうな

 

蜘蛛は話した

はい 私は知りませぬ

飛び降りたことで 運よく助けていただいたこの神様の木で

気を失っていました

しかし 

飛び降りた時に

天女様の羽衣に 

長い奴の影を見ました

もしかして そいつが ひとかじり したのか しなかったのか

 

ミカエルは言った

よかろう 蜘蛛よ お前の償いは

天から落ちることとする 

命があるかないかは運に任せよ

落ちろ地上まで

蜘蛛はミカエルに地上へと落とされた

百足は隠れた 

軍勢が探し襲ってくる中を

百足は逃げた 逃げた 逃げたが

追い詰められ

ミカエルに捕らえられてしまった

百足は無口であったため 何も言うことなく

深海の老牢に幽閉されてしまった

 

さて

蜘蛛と百足の因縁は如何に

蜘蛛は命を永らえたのか? 百足は幽閉されたままなのか?

物語は

それから それから どうした

劇団無◇垢 「百足丸~色糸紬城のちちゆ~」

存分にお楽しみくださいませ

はじまり はじまり はじまり

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